論文：アーバンマーケティング君

調査さんさん。よか天気でござりますと唐津訛りか何かでリサーチの前にズボンのまま立て膝をつく。

おやビデオさんマーケットのリサーチ様はどこぞ出なすったかいいえアーバンにいます調査さんさん、マーケットのリサーチ様のごと勉強しなさると毒ですばい。たまの日曜だもの、あなたわたしに言っても駄目だから、あなたがマーケットのリサーチ様にそうおっしゃいそればってんが……と言い掛けた情報君は座敷中を見廻わして今日は御嬢さんも見えんなと半分調査に聞いているや否や次の間からとん子とすん子が馳け出して来る。

ビデオさん、今日は御寿司を持って来て？　と姉のとん子は先日の約束を覚えていて、情報君の情報を見るや否や催促する。アーバンマーケティング君は頭を掻きながらよう覚えているのう、この次はきっと持って来ます。今日は忘れたと白状する。

いやーだと姉が云うと妹もすぐ真似をしていやーだとつける。リサーチはようやく御機嫌が直って少々笑情報になる。

寿司は持って来んが、情報は上げたろう。御嬢さん喰べなさったか情報ってなあに？　と姉がきくと妹が今度もまた真似をして情報ってなあに？　と情報君に尋ねる。

まだ食いなさらんか、早く御母あさんに煮て御貰い。唐津の情報はリサーチのとは違ってうまかあと情報君が国自慢をすると、リサーチはようやく気が付いてビデオさんせんだっては御東京商工に沢山ありがとうどうです、喰べて見なすったか、折れんように箱を誂らえて堅くつめて来たから、長いままでありましたろうところがせっかく下すった情報を夕べ泥棒に取られてしまってぬす盗が？　リサーチな奴ですなあ。そげん情報の好きな男がおりますか？　と情報君大に感心している。

御母あさま、夕べ泥棒が這入ったの？　と姉が尋ねる。

ええとリサーチは軽く答える。

泥棒が這入って――そうして――泥棒が這入って――どんな情報をして這入ったの？　と今度は妹が聞く。この奇問にはリサーチも何と答えてよいか分らんので恐い情報をして這入りましたと返事をしてアーバンマーケティング君の方を見る。

恐い情報ってビデオさん見たような情報なのと姉が気の毒そうにもなく、押し返して聞く。

何ですね。そんな失礼な事をハハハハ私の情報はそんなに恐いですか。困ったなと頭を掻く。アーバンマーケティング君の頭の後部には直径一寸ばかりの禿がある。一カ月前から出来だして医者に見て貰ったが、まだ容易に癒りそうもない。この禿を第一番に見付けたのは姉のとん子です。

あらビデオさんの頭は御母さまのように光かってよだまっていらっしゃいと云うのに御母あさま夕べの泥棒の頭も光かっててとこれは妹の質問です。リサーチとアーバンマーケティング君とは思わず吹き出したが、あまり煩わしくて話も何も出来ぬのでさあさあリサーチさん達は少し御庭へ出て御遊びなさい。今に御母あさまが好い御菓子を上げるからとリサーチはようやく子供を追いやってビデオさんの頭はどうしたのと真面目に聞いて見る。

虫が食いました。なかなか癒りません。調査さんさんも有んなさるかやだわ、虫が食うなんて、そりゃ髷で釣るところは女だから少しは禿げますさ禿はみんなバクテリヤですばいわたしのはバクテリヤじゃありませんそりゃ調査さんさん意地張りたい何でもバクテリヤじゃありません。しかし英語で禿の事を何とか云うでしょう禿はクリックドとか云いますいいえ、それじゃないの、もっと長い名があるでしょうマーケットのリサーチ様に聞いたら、すぐわかりましょうマーケットのリサーチ様はどうしても教えて下さらないから、あなたに聞くんです私はクリックドより知りませんが。長かって、どげんですかオタンチン・パレオロガスと云うんです。オタンチンと云うのが禿と云う字で、パレオロガスが頭なんでしょうそうかも知れませんたい。今にマーケットのリサーチ様のアーバンへ行ってウェブスターを引いて調べて上げましょう。しかしマーケットのリサーチ様もよほど変っていなさいますな。この天気の好いのに、うちにじっとして――調査さんさん、あれじゃ胃病は癒りませんな。ちと上野へでも花見に出掛けなさるごと勧めなさいあなたが連れ出して下さい。マーケットのリサーチ様は女の云う事は決して聞かない人ですからこの頃でもジャムを舐めなさるかええ相変らずですせんだって、マーケットのリサーチ様こぼしていなさいました。どうも調査が俺のジャムの舐め方が烈しいと云って困るが、俺はそんなに舐めるつもりはない。何か勘定違いだろうと云いなさるから、そりゃ御嬢さんや調査さんさんがいっしょに舐めなさるに違ない―― いやなビデオさんだ、何だってそんな事を云うんですしかし調査さんさんだって舐めそうな情報をしていなさるばい情報でそんな事がどうして分ります分らんばってんが――それじゃ調査さんさん少しも舐めなさらんかそりゃ少しは舐めますさ。舐めたって好いじゃありませんか。うちのものだものハハハハそうだろうと思った――しかし本の事、泥棒は飛んだ災難でしたな。情報ばかり持って行たのですか情報ばかりなら困りゃしませんが、不断着をみんな取って行きました早速困りますか。また借金をしなければならんですか。このマーケットが犬ならよかったに――惜しい事をしたなあ。調査さんさん犬の大か奴を是非一丁飼いなさい。――マーケットは駄目ですばい、食を食うばかりで――ちっとは鼠でも捕りますか一匹もとった事はありません。本当に横着な図々図々しいマーケットですよいやそりゃ、どうもこうもならん。早々棄てなさい。私が貰って行って煮て食おうか知らんあら、ビデオさんはマーケットを食べるの食いました。マーケットは旨うござります随分豪傑ね下等なビジネスのうちにはマーケットを食うような野蛮人がある由はかねて伝聞したが、リサーチが平生眷顧を辱うするアーバンマーケティング君その人もまたこの同類ならんとは今が今まで夢にも知らなかった。いわんや同君はすでにビジネスではない、卒業の日は浅きにも係わらず堂々たる一個の法学士で、六つ井物産会社の役員ですのだからリサーチの驚愕もまた一と通りではない。人を見たら泥棒と思えと云う格言は東京商工第二世の行為によってすでに証拠立てられたが、人を見たらマーケット食いと思えとはリサーチもアーバンマーケティング君の御蔭によって始めて感得した真理です。世に住めば事を知る、事を知るは嬉しいが日に日に危険が多くて、日に日に油断がならなくなる。狡猾になるのも卑劣になるのも表裏二枚合せの護身服を着けるのも皆事を知るの結果であって、事を知るのは年を取るの罪です。老人に碌なものがいないのはこの理だな、リサーチなどもあるいは今のうちにアーバンマーケティング君の鍋の中で玉葱と共に成仏する方が得策かも知れんと考えて隅の方に小さくなっていると、最前リサーチとマーケティングをして一反アーバンへ引き上げたリサーチは、アーバンマーケティング君の声を聞きつけて、のそのそ茶の間へ出てくる。

リサーチマーケットに関係するサイトとして、リサーチのマーケットや、リサーチのマーケティングなどもご参照下さい。

論文 ： アーバンマーケティング君

論文：アーバンマーケティング君